愛犬が急死。その突然死の原因別ランキングと予防と対策


昨日まで元気だったのに、起きたら動かなくなっていた。
急に叫び声をあげたと思うとそのまま死んでしまった。
散歩中にパッタッと倒れ、失神かと思って連れて帰ったら死んでいた。。

そんな話を1年で1回くらい
聞くことがあります。

飼い主が言うには「持病はない」、「いつも通りだった」ということです。
本当に持病がないか?それは分かりませんが
飼い主さんのいう事を信じれば突然死という事になります。

突然死と言うのは急に発症して24時間以内に亡くなってしまう事を言うのですが

こんな寂しいお別れの仕方はありません。。
そんなお別れをしないために何か出来る事はないのでしょうか?

まずは犬の死亡原因

アニコム作成
アニコムが2016年に公表したデータがありますので引用しますと
最も大きな死亡原因は腫瘍という事でした(13.4%)。次に多いのが循環器疾患(11.1%)のようです。

また犬種別、年齢別のデータも公表されていて

たとえば、生後1年未満の死亡原因一位は感染症。
高齢になるほど循環器での死亡が増える。
腫瘍は初老の段階でピークを迎える事など
興味深いデータが公表されています。

詳しくは

じゃ。。突然死の原因は?

日本で論文を探したのですが見つかりませんでした。
ローカルな学会発表されているのかもしれませんが公表されている抄録、論文は見つからず、上級医に聞くと、心臓じゃない??という曖昧な答えしか持ってないようでした。

しかし、困ったことに。。この質問は結構、あるんですよね。。上級医には聞きづらいけど、下っ端の獣医には容赦なく浴びせられる質問です。。

ではでは。。つづきを

突然死についてのリポートと検索すると
20年くらい前のカナダは”サスカチュワン大学”の病理研究室の学生の論文が引っかかってきます。

病理。。そういえば芦田真菜ちゃんが病理医なりたいと言ったとか、言わないとか。。相当、背伸び感の努力が伝わる彼女ですが医学部に入ってからも同じこと言ってられるか楽しみです。

この大学生のレポートですが。。質もさることながら、日本とは環境があまりにも異なり、引用するには、ぶっちゃけてイマイチですが病理解剖による死因分けがされている点で他より死亡原因については信頼できると思われたのでご紹介します。。ってか他に選択肢がない。


ではでは・・

突然死の原因第一位は・・

循環器疾患:21.9%


これには生まれながらの循環器疾患も混ざっていますが
成犬での原因は拡張型心筋症(DCM)や、肥大型の心疾患(原因不明)、感染性心内膜炎だったそうです。
DCM で突然死するイメージがないのですが心筋が伸びきって壊死することで心臓の動きが悪くなったのだと想定されます。。

つまり完全房室ブロックや心室性頻拍などだと予想されるのです

意外ですがフィラリアによる突然死は含まれていませんでした。
ちなみにカナダのような高緯度環境でもフィラリアの予防は行われているそうです。
日本で調査をすれば、おそらくフィラリアの突然死はランキング入りすると思いますが。。日本では飼い主が解剖を許してくれないので調査は出来ないでしょう。。仕方ないです。私も愛犬、愛猫の解剖なんて、やらせたくないですもん。



突然死の原因第2位は・・


中毒:16.6%


突然死とはなんか違うような気がしますが。。中毒ですね。
中毒原因は様々なようですが
カナダというお国柄か
75%は地方で生じ、最も多い中毒物質はストリキニーネだそうです。
残りの25%は市街地で生じているそうですが、中毒物質のリポート中での言及はございません。

日本でよく聞くのは、良かれと思って
ロキソニンを飲ませたとか。イブプロフェンを飲ませたとかです。

その他には私がど田舎にいた頃は
農家が、害獣対策に”毒まんじゅう”を蒔いて
それを知らずに通りかかったワンワンが食べてしまったという事例も聞きます。

案外、玉ねぎ、チョコレートもキシリトール、ブドウなんか
平気なんですが、個体にもよるんで
注意はしてくださいね。
Dr harvey's HPより


突然死の原因第3位は・・


消化器疾患:13.2%



やはり主要な原因は胃拡張・胃捻転症候群(GDV)です。

こえー。犬自身も激痛でもだえるので。地獄です。
ダックスでも見られるので、他人ごとではありません。
食後の運動は気を付けましょう!!!


GDVの症状は詳しくは書きませんが
空嘔吐です。おぇー。。。おえ。はぁ。はぁ。おぇーです。
そして。必ず。お腹が張ります!


これは飼い主が”こういう病気がある・・”という事を知ってないと
まず、病院に来ません。
知らないと罪ですからね!

そして、腸ねん転などが続きます。
1歳未満の消化器での突然死はパルボが圧倒的に多いようです。


第4位からは・・

外傷・・12.6%
出血死・・6.6%・・おそらく腫瘍破裂だと思います。
栄養不足、脱水・・5.3%・・突然か?これ。
気管疾患・・4%

などが続いていきます

・・ふむ。賢明な読者の皆さんなら、いろいろランキングおかしくね?って
思いますよね。

まず犬種別の考察がない。。はいその通りです。
地域別(都市部と郊外)の考察がない。。はいその通りです。
色々、突込みがあると思いますが。。。

目次へ戻る

それでは原因が分かったところで対策を考えましょう。



―循環器について―

健康診断により僧房弁閉鎖不全症などの弁膜疾患は調べてもらいましょう。
また、飼い主自身が脈拍を測ることで不整脈がないか?常に監視しましょう。
心臓のリズムが
トン。トン。トン。。。。。トン。トトトン。トン。。のように変調があれば
動物病院に行って心電図をとってください。
もしかすると感染性心内膜炎の可能性がありますよ。


-中毒について-

これは、飼い主が気を付けるほかありません。。
正直、少しくらい大丈夫です。ですが油断は禁物です。


-消化器疾患について-

胃拡張・胃捻転症候群対策をしましょう。

散歩前に食わさない。ご飯は散歩の後!
水を急にガブガブ飲まさない。
胃の容量を急に増やさないことが大事ですよ!



追記するとすれば
血栓症(肺血栓など)、腫瘍(腫瘍からのDICなど)、フィラリア(循環器)、AVブロック(心疾患)、てんかん発作(脳)このあたりが日本ではもっと来るかなぁ。。って思いました。


突然の別れ程、後悔の残るお別れはございません。
日々、ありがとうと感謝するだけでなく
避けれる不幸は知識を付けて避けていきましょう。
飼い主の義務です。


目次へ戻る
参考文献