私の考える動物病院の探し方


良い動物病院ってなんなのでしょうね。。
治療する側からすると、どの獣医も人間的にいい人ばかりで信頼できるのですが
酷い話を聞かない事もないです。

私は未だぺぇぺぇの未熟者ですが
私が思う点をあげさせてください。


― 獣医の履歴 ―
学部時代に臨床系のゼミだった。とくに開業している場所にある大学病院卒ならなお良いです。
研修獣医を経験している。獣医はご存知のように研修は努力目標であり義務ではありません。ほとんどの臨床獣医は研修を経験していないのです。

こうした経験者に共通しているのは大学病院という研究者獣医との太いパイプです。
自分の手におえない症例はすぐ専門医にコンサルできる環境は大事です。


― 診察に対する考え ―
専門的になりますが病気をパターンではなく解剖、生理、病理などから理解されている方が診療技術が高い獣医です。
つまり細胞単位で病気の状況を理解できるという事です。。

簡単な例をあげますが、皮膚が赤いとします。

これがどういう事が分かりますでしょうか?
赤いという事は炎症が起きているという事なんです。
なので炎症が起きる病態を考えれば正解に近づけます。
ざっくり言えば
感染症、自己免疫疾患です。
なにを当たり前なと感じることと思うのですが、大事な着眼点です。

そうしましたら、また別の患者で皮膚が赤くないのに毛が抜けると訴えがあったとします。
今回は炎症は起きていないので、上記の感染症、自己免疫疾患は考えなくていいです。

ではいったい毛が抜けるという事はどういうことでしょうか?
それは抜けたまま、毛が生えてこないという事です。

毛根は血管から栄養を貰い、ホルモンにより毛周期を制御されています。
ってことは栄養不足、血行、ホルモンが怪しいんじゃないか?ってことになるわけです。

この場合、栄養で脱毛するならばフケなどの皮膚症状を伴いますし
血管が怪しい場合は独特の脱毛をするので一目瞭然ですので
残ったらホルモンだろうと結論付けられます。

たとえ病名が分からなくても、この辺が怪しいとあてがつけられれば正解に近づきます。
少なくともいきなりステロイドとはなりません。

こうした理解を獣医が持ってるかどうかが良い獣医の基準だと思います。
会って質問しまくる事でしょうね。。

― 患者を囲わない ―
ベテラン獣医に多いのですが、全然治らないのに患者を2次病院を紹介しないで自分で直したがる先生がいます。

その理由として、”それでいいと思っている”が最も近い思考回路だと思います。

腫瘍や高齢期の医療は段々と悪くなるのは仕方ない事ですが
若齢、中齢期の病気で一か月以上なんらかの改善がない場合、やはりその獣医にはペットの病気は荷が重かったと言わざる得ません。

良く勉強している獣医ならば、荷が勝ちすぎているかどうかの判断は瞬時にできます。
そうしたら躊躇せず上位の病院に紹介します。

それが出来ないのは病気への理解が低いためです。。一月、改善がないのに自分の病院で治療を継続しようとする獣医は警戒したほうがいいと思います。


― 複数の獣医が所属している
あるいは外部から獣医が外来に来ている ―

これは単純に数が多ければその分、治療の技術を切磋琢磨しあえる点でレベルがあがりますし、まずい治療をすれば、すぐバレますのでどの獣医も勉強を怠りません。

病院によっては大学病院から教員を招いて手術を行っているところがありますが、情報の風通しがよく、分からないこともプライドを捨てて質問できるのでレベルが高いです。


― 器材で選ばない ―
放射線療法の装置
たまに HP を見ると、内視鏡があります。とか CT がりますとか売りにしている病院がありますが、あてにしてはダメです。

CT は読影できなければタダのレントゲンです。
そういう読影技術は大学病院などの研修医にならなければ身に付きません。
また撮影技術も未熟だと、何が映ってるのか画像専門医でもわからないこともあります。

内視鏡や手術用のデバイスなんかもあるだけで、出番がない病院がほとんどです。



テレビに出ている獣医も警戒して良いです。
良い獣医はメディアに出ている暇はありません。






で、結局、何を見て判断すればいいのよ??

まず HP を確認し、院長のあいさつを読みます。
略歴があればなおよし。
ココに〇〇大学研修修了とか〇〇学会所属とあればある程度、信頼できると思います。

また院長の名前で論文を検索してもいいでしょう。
英語でも検索します。意識が高い院長だと英語で書いてることもあり日本語ではヒットしないことがあります。

または〇〇教授や専門医が出張に来ている病院を選ばれてもいいです。

そんなこんなで、ある程度、病院を絞ったなら
フィラリアの予防薬の購入時や健康診断、狂犬病注射の時に
それぞれ候補の病院に行き、さまざま質問してみましょう。

たとえば、予防接種、逆くしゃみとか、ご飯の事でも良いです。

ハッキリ言って、獣医はそんなにご飯の銘柄を知りません。
私の昔の上司は循環器の専門医でしたが
愛犬家の常識、最強ドックフード・カナガン、ワイルドレシピを知りませんでした。

ですが、どういうフードがいいか、犬の消化生理を踏まえて答えられます。
こういうのを探したら?という条件を提示してアドバイスですね。
銘柄はわからんっていいます。

分からない物は分からないので
分からないと伝え
だけど生理学的に考えればこういう事ではないか?と説明できる
これが出来れば取りあえず
愛犬、愛猫の主治医合格ってことにしていいと思います。

様々なご意見があることはわかっておりますのであくまで、獣医師である私が思う良い病院です