15歳老犬、うちの犬の声がおかしい。。犬の口腔内メラノーマ 編


-メラノーマ-

最近、声がおかしい。。呼吸のたびに ”ひぃーひぃー”、”がぁーひぃーがぁー” と音がする。
最近、水を飲みずらそう。。
水を飲んだ後、げぇーっと吐く。。
何か強烈に口が臭くなった。。
あなたの老犬、老猫に、このような症状があれば

今すぐ、口の中を観察してください。



dog-healthを一部改編
もし”喉ちんこ”のあたりに”黒い何か”があった場合。
すぐ、動物病院に連れて行きましょう。
口腔内メラノーマの可能性があります。

口腔内メラノーマとは犬で発生頻度の高い口の腫瘍です。
高齢犬で口にできる腫瘍の3-4割は口腔内メラノーマだといわれています。
猫では口腔内メラノーマはほぼないと思って大丈夫です。
その代り扁平上皮癌という恐ろしい癌が出来るのですが。。

囲み:口腔内メラノーマ、矢印:転移
上図のように通常、口腔内メラノーマは歯肉にできます。
最初、血豆のようにポッコリする物体として見つかることが多いのですが
喉の奥に出来るメラノーマは殆ど気づくことはありません。

動物病院に行っても、経験の乏しい獣医の場合はっきり喉の奥に真っ黒なメラノーマがあっても気づかない事があります。

メラノーマに対する治療は
第一選択は外科治療になります。
下顎にできていればラッキーです。下顎を切除すればその後、1,2年は生きられます。

ただし上顎にできた場合、もしくは"喉ちんこ"にできた場合、完全な切除が難しく
その場しのぎの手術で命をつなぐことになります。。早ければ1か月後には再発し元の通りです。

幸い、メラノーマには手術以外の選択肢もあります。。効果のほどは置いときまして。。

放射線治療、抗がん剤治療、動注リザーバー治療などです。
色々な治療法が併用されるのですが、結局、メラノーマの患者はメラノーマで死にます。
腫瘍を見つけてから200日が余命と覚悟してください。

アメリカでは以上の選択肢に加え新たな選択肢があります。
"DNAワクチン"と言われるものです。

merial HP より
 商品名は ONCEPT (Merial ) 、以前は日本でも治験が行われていたのですが現在、日本で使用している動物医療機関はありません。
ONCEPT の仕組みを、とてもざっくりいうと
ONCEPT を注射することで自身の免疫が活性化しメラノーマを排除するというものです。

アメリカでは USDA(農務省)による認証が取れており実際に使用されていますが、 FDA によるランダム臨床試験が行われておらず本当に実際に効くのか?議論が続いています。

ONCEPT は免疫を活性化する時間が必要なため、想定する進行ステージを Ⅱ - Ⅲ としていますが、英国での報告によればステージ Ⅳ に関しても延命効果が認められたケースがあったと報告しています。

口腔内メラノーマの患者は再発すれば、なす術がなく日に日に弱っていく愛犬をだた涙して眺めるのみなのが現状です。
そう言った中で延命を少しでも望む飼い主さんにはこのワクチンは朗報かもしれません。

もしあなたのペットが口腔内腫瘍で外科摘出が不可能で、放射線、抗がん剤、動注療法でもコントロールできないなら獣医に相談してもよいかもしれません。大学病院クラスなら何らかの方法で手に入る可能性はあります。



参考文献
Canine melanoma vaccine
The Controversy surrounding the Melanoma Vaccine for Dogs