老化? 関節痛? ペットが歩かない。。どうしたらいい?

パクタス より引用

昔は全く追い付けないくらい速かったのに。。今は私の方が速いくらい。。
いつの間にか上の階にも行かなくなったし。。

最後に、タンスの上にジャンプしたのっていつだっただろう。。朝起きての伸びもしなくなった。。なんかさびしい。


身近な人や動物の老い感じるのは、自分が老いを感じるよりも堪えるものです。


年齢とともに膝を痛め、腰が悪くなるのは仕方ないとはいえ何か出来ることはないのでしょうか?
パクタスより引用

今回は慢性的な関節炎からくる
老いに対してどうしたらいいのか考えたいと思います*1。

*1 急性痛はこの限りではありません。


まず、早期に気づくことが大切

これは言わずもがなですね。。敢えて書く必要もない事ですが
  • 段差を嫌がる
    • 特に下り、車の乗り降り
  • よっこいせ。。と立ち上がる
  • おしりの筋肉が減ってきた
  • 歩き方が変わった
など色々あげられますが
愛するペットの事なので細かく述べる必要もありますまい。
このような変化が見られた場合、ほぼ関節痛 いわゆる 変形性関節症 の疑いがあります。対処しましょう。

難しい変形性関節症(通称 OA おーえー)の理屈は置いておきます。
それはこの本題ではないからです。
加齢により関節が痛んだり
もとは軽い関節炎だったのに老化し治癒力が低下したために炎症が慢性化してしまうのが原因です。


また繰り返しますが、大事なことは変化は級ではなく
徐々になってきたという事が大事です。急性痛は全く対処が異なります。



-まずは減量しよう-

関節と言えば肥満対策です。
もちろん正しい栄養バランスの上で行うのですが
減量は関節の老化を遅らせる効果があるばかりでなく
既に老化が始まっているペットの関節にも効果があることが示されています。

具体的には。。
減量により2年くらい関節の老化を遅らせる効果があるとわかっています。
更に!!!減量大型犬の寿命を15%伸ばすという報告もあるようです。

― どれくらい?減量すりゃいいのよ! ―

これは体重によるのですが、ちょっとやせ気味くらいがいいと言われています。
撫でていて肋骨が容易に触れるくらいです。

また既に太っているペットの場合、今の体重より 6 - 8 % 減量するだけでも
可なり運動機能が回復することがわかっているので
少しでも長く元気でいてもらいたいと、願うなら
今すぐにでも減量してください。

これは以下に述べるサプリメントをあげるよりも効果があるとされており
OA の治療を行う場合、いの一番に取り掛かるべき対策なのです。


-運動をやってみよう-
なかなか難しいかもしれませんが。
様々なマッサージが考案されています。そういった動画を参考にマッサージやストレッチを行ってみてください。

簡単な方法は関節を伸ばして10秒ほど保持するやつです。
肩や手首、足首、股関節をグーッと伸ばします。
痛がらないなら、ちょっと脇や股を外側、内側にそらして10秒ほど維持する。

散歩前に行うだけでも違います。

もうちょっとペットの為に時間をかけられるなら散歩前に関節を温め、散歩後にアイシングですね。効果的と言われるのは20分とかですが
10分程度でもいいと思います。


うちでよくやるのは散歩前にマッサージ、散歩後に足を洗う代わりに大きめの盥に水を張り
足をいれちゃうことです。


運動療法は。。出来たらでいいです。
八の字歩行
簡単なさく越え。。大型犬ならば縁石を越えさせるのがいいです。
小型犬ならば広辞苑でも乗り降りさせましょう。

その他、ご飯をあげるときに段差をつけて前足を台の上にのせて食べさせるのもいいです。


-サプリメント-
ここまでやって、サプリメントです。
ダイエットと同じで楽して食い物だけで良くなろうなんて
甘いことは考えないで下さい。

コンドロイチングルコサミン
言わずと知れた関節サプリの王道ですが、体内への吸収率が悪く一説には殆ど吸収されない。。とのこと、そのため私たちが想像している量の2倍、3倍は投与する必要がありそうです。費用対効果が優れていないと思われます。
また、市販のコンドロイチン、グルコサミンのサプリメントには含有量を偽っているものが多いそうで何がいいのか疑心暗鬼です。。

Ω 3 脂肪酸( DHA , EPA )
これは関節軟骨を直接回復させるものではありませんが、関節の炎症を抑える効果があります。難しい作用機序があるのですが、憶える必要ありません。
これは具体的な用法用量はないのですが、他の腎保護作用やてんかん治療作用で使われるDHA , EPA から推測するに
1日、DHA : EPA が 2 : 3 で含有するサプリメントを 500 ㎎ ほど摂取するとよいのではないでしょうか?

これもグルコサミンと同じように、謳っているほど有効成分が入っていないことがあるらしく、また酸化し体に悪い影響を及ぼす脂肪酸に変化してしまうこともあるので
医療機関や製薬会社などが作ってる物がいいかもしれないです。

モエギイガイエキス
最近でてきたサプリメントです。
モエギナールやアンチノールと言う商品名で売られています。
Ω3脂肪酸と同じような作用で関節の炎症を抑えるといわれています。
私の印象ではもっとも効果があるように感じます。。決められた量があるのですが
その2倍くらい飲ませたときの愛犬の活動性の向上には驚きました。
ただし、かなり高価です。一月、3000円とかします。


-それでも治らなかったら。。痛みどめ-

痛みどめを使うことに抵抗があると思いますが、痛みがあることで運動不足になり
ますます関節が老化する危険があるので
痛みどめをおすすめします
最近では長期間使用しても、容認できるくらいの副作用しか出ない事がわかっています。
また一か月の作用時間をもつ痛みどめも上市されており
痛みどめも使いやすくなりました。
獣医に相談ください。

トロコキチュアブル(zoetiz)1回投与で30日有効の痛みどめ


以上が関節の老化から来る
ペットのヨタヨタを改善、あるいは防ぐ方法になります。
まだ、関節炎になってないならば今日からでも減量を始めてください。


高齢のペットの場合、以上の方法が適さない場合もあります。
ホームドクターに確認してください。


参考文献
Marshall, W. G., Hazewinkel, H. A. W., Mullen, D., De Meyer, G., Baert, K., & Carmichael, S. (2010). The effect of weight loss on lameness in obese dogs with osteoarthritis. Veterinary Research Communications, 34(3), 241–253. http://doi.org/10.1007/s11259-010-9348-7

犬と猫におけるリハビリテーション、支持療法および緩和療法、学窓社、2012.4