うちの犬が肺水腫かも。。どうやって見分けたらいいの!

オリオン美術館より一部改編
―ざっくりまとめると―
まず水っぽい咳が出る。いつの間にか口をあけて呼吸が速くなっている。呼吸が水っぽくなる。苦しいのでまったく寝れない、横になれない。舌がチアノーゼをおこしたら最終局面。ついに体力が限界になり横に伏せる。
肺水腫になる要因があり、こうなったら肺水腫を疑い病院へGO!
肺水腫になる要因がない場合、肺炎、誤嚥などを疑い、どっちにしてもGO to 病院! 



―そもそも肺水腫って何よ?―

ざっくり説明しますと肺の血管から血の成分が染み出ちゃうことです。血の成分を血漿と言いますが”水”で良いです。
肺水腫とは陸にいながらにして溺れてしまうわけですね。怖いです。

して、なんで肺が水浸しになるかという事ですが理由は複数ですね。

1、血管からダダ漏れる。
難しい話は置いときましょう。血液成分が貧弱になり血管から漏れちゃうことがあります。そういう場合はふつう、腹水から始まりますけどね。
その他、稀に肺出血ってのもありますがよっぼどの事です。

難しい話をしますと、アルブミンってのが少なくなると膠質浸透圧が下がり血管内に血漿成分を保持できなくなるって言います。難しいので良いです。

2、血管が血で溢れている。
腎不全などでおしっこを思うように出せないと、余分な水分を排出できずに血管から水が漏れていきます。腎不全の場合、血液の老廃物が血管を傷つけるので更にダダ漏れが加速します。ただしこの場合も腹水から始まるのが普通です。

3、心臓病。
心臓が上手く働かない場合、血が淀んで溜まっていきついに肺から溢れるのです。心臓のどこが病気か?に依りますが犬、猫、特に犬の場合、ほぼ肺から溢れます。
なんで肺から溢れるか?といいますと。ざっくりいうと肺にはムチャクチャ血管が集まっているからです。

もう少しつっこんだ話は。。難しい話になるのでココではおいておきます。
お聞きになりたいなら書きますけど。。犬は僧房弁閉鎖不全症(MR)になりやすいです。その理由まではマジで書きません。そのMRって病気は肺から戻ってくる血液を止めてしまうのです。心臓に帰れない血液は肺に溜まって、溜まって、肺に溢れるんです。

4、肺がやばい。
手術後などに起きやすいのですがARDS(急性呼吸窮迫症候群)という、とてつもなく恐ろしい病態があります。こうなってはもう後戻りは難しいです。
または誤嚥したり、肺炎が起きたり炎症により肺が水浸しになることがあります。

pinterestより


―じゃあ、どんな症状になるのよ―

動物病院では色々言われると思います。特によく言われる獣医アドバイスに
呼吸回数が40回を越えたらやばいんだ!があります。。が、全くあてになりません。
40回を超える事なんて、健康なワンワンでもザラなんですから

ココで、気を付けてほしいことは肺水腫ってのがどういう病態か?って話です。

肺水腫は文字通り肺が水浸しなのです。
信じられないと思いますが、肺水腫になった犬を逆さまにすると肺から水がドバドバ出てきます。レントゲンに写っている水が例え少量でも実際はドバドバです。
そんな水の間を縫って、無理くり呼吸をするわけですから呼吸音は水っぽくなります。
けほー。。けほー。。ゴホ。。ゴホ。。咳も水を含みます。

そして呼吸数も上がってきます。その時重要なのは普段との比較です。普段より明らかな呼吸数の上昇は重要です。40回はあくまで目安です。

ただのパンティングに見えるけど。。なんだか咳と呼吸が水っぽい。。全てが当てはまったら肺水腫でなくとも肺血栓、肺炎、誤嚥なども含めて肺になんかあると疑ったほうがいいです。
肺血栓や肺炎、誤嚥の場合、肺水腫ほど水っぽい呼吸にはなりません。ですが室温が変わってないのに急な呼吸数の上昇は肺疾患を疑ってよいです。


お恥ずかしい告白ですが
見た目だけで肺に水がたまる前に肺水腫を発見するのは難しいです。
朝起きたらチアノーゼをおこしていた。。という悪夢はよくあるケースです。

心エコーなどで肺水腫になるリスクを評価してリスクが高い場合
飼い主は覚悟を決める必要があります。(それでも腱索断裂なんかは予想できない事がありますが)いまペットがどのリスクにいるのか?そこを聞いてください。
写真はイメージですMRではありません

誰よりも早くお知りになりたい場合は”聴診器”を購入して
呼吸音をチェックしてみてください。ザラついた呼吸音が聞こえてきたら肺水腫です。


肺水腫の治療の仕方は獣医に相談してください。
酸素室のレンタルは早めにしたほうがいいかもしれないですね。